バブルを乗り切って賞金確定へ!
トーナメントで最も緊張する瞬間の一つが「バブル」です。長時間のプレイの末、あと一歩で賞金圏内というところで敗退してしまうと、その悔しさは計り知れません。本記事ではスタック別の最適な戦略を解説し、バブルを乗り切るための具体的な立ち回りをご紹介します。
1. バブル直前とはどの段階でしょうか?
トーナメントでは、賞金圏(In The Money, ITM)まで残り数人の局面をバブル直前と呼びます。ここで脱落してしまうと長時間のプレイが無報酬になってしまうため、プレイヤーは一気に慎重になります。まさにICM(Independent Chip Model)の影響が最も大きくなるタイミングです!
- 賞金圏まであと数人(例:100人払いのトーナメントで残り105人程度)
- プレイヤーの多くが極端にタイトになる傾向がある
- チップの価値がリアルマネーに直結する局面
- スタック差によって取るべき戦略が大きく異なる
50BB
25BB
8BB
20BB
賞金圏突入
2. スタック別・基本指針
スタック(BB換算) | 推奨アプローチ | 主な理由 |
---|---|---|
ビッグスタック (40BB以上) |
積極的にレイズし、ショートやミドルのフォールドを誘います。 | 脱落リスクが小さいため、相手に最大限のICMプレッシャーをかけるチャンスです。 |
ミドルスタック (15〜40BB) |
ポジションと相手を選んでレイズ、ショートスタックがいるテーブルでは慎重にコールレンジを絞ります。 | 自分よりさらに短いスタックが飛ぶまで待てるため、無理をして衝突する必要がありません。 |
ショートスタック (15BB未満) |
レイズフォールドは避け、プッシュかフォールドに切り替えます。 | レイズしても簡単にリスチールを受け、スタック壊滅につながる恐れがあります。 |
3. ビッグスタックで主導権を握るコツ
ショートスタックがリンプするときは、大きめのサイズでレイズして1対1に持ち込みます。
例:ショートスタックがリンプしてきた場合、A♠K♠のようなプレミアムハンドでアイソレートレイズすると、相手は降りるか、不利な状況でコールするかの選択を迫られます。
ミドルスタックのオープンに対しては、スーテッドコネクターやエースハイでも3ベットを検討します。相手はスタックを守りたい心理が強まり、フォールドしやすくなります。
バブル直前ではA♥5♥、9♠8♠のような通常なら慎重なハンドでも、ミドルスタックに対して3ベットブラフとして使えます。相手はICMプレッシャーでコールしにくくなります。
ミドルスタックとポットを膨らませて複雑なポストフロップに進む意味は小さいです。レイズかフォールドでシンプルに圧をかけるほうが期待値を得やすくなります。
4. ミドルスタックがやるべきこと
3ベットを浴びると降りざるを得ずチップを無駄にします。ポジションが悪ければハンドレンジを絞りましょう。
例:ビッグスタックがいる状況では、A♠K♦のようなプレミアムハンドでオープンし、K♥J♣のようなマージナルハンドは避けるべきです。
ショートがオープンしたときに3ベットオールインを被せる動きは非常に有効です。相手は回避できずコール率が高くなるものの、こちらは上のレンジでぶつかるため期待値がプラスになります。
例:ショートスタックがA♥10♦でオープンした場合、Q♠Q♠で3ベットオールインすると、相手は降りられずに不利な状況でコールすることになります。
過度に縮こまるとスタックが減り、ITM後に一気に押し込まれる展開を招きます。堅実ながらもチャンスは確実に取る意識が重要です。
5. ショートスタックが生き残るポイント
ハンドの強弱に加え、「誰がブラインドを守りに来るか」を観察します。タイトなビッグブラインドを狙えば、フォールドエクイティが最大化されます。
例:A♦8♣、K♥10♥のようなハンドでも、タイトなBBに対してはプッシュしてスチールを狙うべきです。
ミニレイズをしてしまうと、残りスタック比率的にリレイズを受けて降りられずゲーム終了となるケースが増えます。
例:J♠10♦でミニレイズした後に3ベットを受けると、コールするには弱すぎ、フォールドするには既に多くのチップを投入してしまっている状況に陥ります。
同時刻に他テーブルでショートスタックが飛びそうなときは、タイムバンクを使って少しだけタンクするのも戦略の一つです。ただし遅延が過度にならないよう注意が必要です。
6. 具体的ハンドレンジ例(BB15のショートスタック、BTNから)
状況 | 推奨アクション | 代表ハンド |
---|---|---|
SBとBBがミドル〜ビッグスタック | オールイン |
2♠
2♠
+,
A♥
2♠
+,
A♦
7♣
+,
K♠
9♠
+
|
大きなビッグスタックがBB | プッシュレンジをやや絞ります |
5♠
5♠
+,
A♥
2♠
+,
A♦
10♣
+,
K♠
J♠
+
|
BBが極端にタイト | レンジを広げます |
2♠
2♠
+,
A♥
2♠
+,
K♦
8♣
+,
Q♠
9♠
+
|
相手のスタックサイズとプレイスタイルに応じて、プッシュレンジを調整することが重要です。特にBBのプレイヤーがタイトであれば、より広いレンジでプッシュすることで利益を最大化できます。
7. 注意すべきNGパターン
バブル時はスモールポケットやブロードウェイオフスートの弱点が顕著になります。リスチールの餌食になりやすいため注意が必要です。
例:Q♥J♣や5♦5♦でビッグスタックのオープンをコールすると、フロップで難しい決断を迫られることになります。
ICM的にダメージは小さいように見えても、ポストバブルでの圧力が弱まります。相手を飛ばせるとき以外は慎重に判断しましょう。
例:A♠J♣でショートスタックのプッシュをコールするのは、相手レンジに対して十分な勝率がない場合が多いです。
バブル直前はスタック差・ICM・フォールドエクイティが複雑に絡み合います。
ビッグスタックの方はICMプレッシャーを最大化してチップを増やしましょう!
ミドルスタックの方は衝突を避けつつショートを観察し、コツコツと加点する動きを意識してください。
ショートスタックの方は迷わずプッシュし、時間を有効に使いながら生存確率を高めましょう。
適切な判断を積み重ねて、無事に賞金圏へ滑り込み、次のステージであるポストバブルの戦いに備えてください!