ポーカーのトゥワイス(Run It Twice)とは?
トゥワイス(Run It Twice)は、主にキャッシュゲームで使われる特殊な取り決めで、オールイン後の残りのボードカードを2回に分けて開くことを指します。プレイヤー同士が合意すれば実行され、ポットの分割やバリエーションが増えるため、より安定した結果を得やすいという特徴があります。
1. トゥワイス(Run It Twice)の概要
場所・タイミング:ハイステークスのライブゲームや、一部オンラインポーカーサイトのキャッシュゲームで採用される。
目的:バリアンス(分散)を下げるため。1度きりで引かれるカードに比べて、2回に分けて引くことで運要素を分散し、極端な結果を少し和らげます。
通常のポーカーでは、オールイン後に残りのカードを1回だけ開きますが、トゥワイスでは2回に分けて開きます。これにより、極端な運の良し悪しを平均化し、より「公平」な結果に近づける効果があります。
2. トゥワイス(Run It Twice)の流れ
たとえば、ヘッズアップの状況でAさんとBさんが全額を突っ込み、ショーダウンへ。
対戦相手が全員合意すれば実施。片方が反対すれば通常通り1回だけボードを開く。
たとえばターン&リバーが未開示なら「ターン/リバーを2セット」開く形。
もし1回目でAさんが勝ち、2回目でBさんが勝ったら、それぞれが半分ずつポットを獲得。
2回とも同じ人が勝てば、ポットを全額その人が独占することになる。
A♠K♠
Q♥Q♦
上の図では、プレイヤーAがA♠K♠、プレイヤーBがQ♥Q♦を持っています。フロップは10♠J♣2♦で、両者がオールインになりました。
1回目のターン・リバー: Q♠A♥ → プレイヤーAがエースペアで勝利(ポットの半分$500獲得)
2回目のターン・リバー: 7♣9♠ → プレイヤーBがクイーンペアで勝利(ポットの半分$500獲得)
結果:両者が$500ずつ分け合う
3. メリットとデメリット
3.1 メリット
1回のボード開示だと運に左右されやすいが、2回に分けることで結果を平均化し、激しい負けや勝ちを抑制できる。特にハイステークスで1回の負けが大きい場合、安心感が得られる。
全員が納得した上で適用するため、参加しやすい。どちらかが反対なら通常通り1回だけ。
ハイリスクスポットでの大負けを分散できるので、友情やテーブル上の衝突を緩和しやすい…という効果も期待できる。
3.2 デメリット
ボードを2回開くため、少々時間が延びる。大勢が頻繁にトゥワイスを行うとゲーム進行が遅くなる可能性。
“1回限りの勝負”という緊張感が薄れ、「大きく勝つ or 負ける」を楽しみたいプレイヤーには物足りないかもしれない。
初めての人は「なぜ2回開くの?」と混乱しやすい。ルールや処理を理解していないと手順が面倒に感じることも。
4. トゥワイスのバリエーション
一番ポピュラーな形。2回に分けてボードをめくる。
さらにバリアンスを下げる目的で、ボードを3回に分割。海外のハイステークスでよく採用される。
理論上、プレイヤーが合意すれば4回や5回なども可能。ただし、時間や複雑さも増す。
5. ドロー系ハンドの影響
ドロー(フラッシュドロー、ストレートドローなど)を抱えてオールインした場合、Run It Twiceの実施で「1回目にドローを完成」「2回目では完成せず」といった分割結果が起こる可能性があるため、ポットを半分ずつ分け合うシナリオが増える。
2回めくるチャンスがあるので、結果的に少しでもチップを取り戻す可能性が増える。
相手が2回のうち一度も引かれない確率がやや下がり、完全勝利の確率が低下するが、半分を取りこぼす程度で済むケースもあるため、大きな運の振れ幅を緩和できる。
A♥K♥
J♠J♣
上の図では、プレイヤーAがA♥K♥でフラッシュドロー、プレイヤーBがJ♠J♣のポケットペアを持っています。
1回目のターン・リバー: 3♥8♦ → プレイヤーAがハートのフラッシュを完成させて勝利(ポットの半分$500獲得)
2回目のターン・リバー: 7♣5♠ → プレイヤーBのJJが勝利(ポットの半分$500獲得)
結果:両者が$500ずつ分け合う
通常なら1回だけの勝負で、どちらかが全額を獲得または失うところが、リスクが分散されています。
6. Run It Twiceは期待値を変えない
実は、数学的な期待値(EV)は変わらないとされます。カードは同じく52枚(残り枚数)から引かれるため、1回で開こうが2回に分けようが、トータルの勝率は変化しません。
しかし、バリアンス(分散)の軽減によって資金管理が楽になり、心理的ストレスを減らす効果が大きいのが実際の利点です。
例えば、あるハンドが60%の確率で勝つ場合:
- 通常の1回勝負:60%の確率で全額獲得、40%の確率で全額失う
- トゥワイス:
- 36%の確率で両方勝って全額獲得(0.6 × 0.6 = 0.36)
- 48%の確率で1勝1敗で半額獲得(0.6 × 0.4 + 0.4 × 0.6 = 0.48)
- 16%の確率で両方負けて全額失う(0.4 × 0.4 = 0.16)
- 期待値計算:
- 通常:0.6 × 1 + 0.4 × 0 = 0.6
- トゥワイス:0.36 × 1 + 0.48 × 0.5 + 0.16 × 0 = 0.36 + 0.24 = 0.6
このように、期待値は同じですが、結果の分布が異なります。
7. トゥワイスのルール面や合意について
ポットに参加しているすべてのプレイヤーが「Run It Twice」を希望する場合のみ実施。1人でも反対なら通常通り。
ポットを2分割し、それぞれのボードで勝者を決める。初回で勝った人が2回目も勝てば、結果的にポットを総取り(スコープ)。
「Run It Twice」を提供しているカジノ・オンラインサイトもあれば、提供されていないケースも。事前にルールを確認しておくと良いでしょう。
ポーカーの「トゥワイス(Run It Twice)」は、オールイン後のボードを2回に分けて開くことで、バリアンスを下げ、プレイヤーが極端に大きく負けるリスクを軽減する仕組みです。
期待値(EV)は変わらないものの、精神的な安定や資金管理上のメリットがあり、ハイステークスやキャッシュゲームでよく導入されます。
全員の同意が必要で、ルールを提供していないカジノでは使えないことも。
大きな一発勝負を楽しみたい人には物足りないかもしれませんが、安定志向のプレイヤーには有力な選択肢となるでしょう。