はじめに
ポーカーを始めると「リンプはしないほうがいいよ」と耳にすることが多いですよね。
リンプには、ポジティブなイメージよりもネガティブなイメージが根強くあります。
ただし、例外的に「リンプが有効に働く状況」も存在します。今回は「リンプとは何か?」から、「なぜリンプが敬遠されやすいのか?」、「どんな場面ならリンプが有効なのか?」について詳しく見ていきましょう!
そもそもリンプとは?
「そもそもリンプって何?」という方もいると思います。
「リンプ(Limp)」 とは、プリフロップでビッグブラインドの額をただコールしてゲームに参加することを指します。たとえば、BBが100であれば、その100を支払って参加する(レイズをしない)行為がリンプです。
- プリフロップで最初にアクションするアーリーポジションのプレイヤーがBBにコール → オープンリンプ と呼ばれる
- すでに誰かがコールしているのに、さらに自分もコール → オーバーリンプ と呼ばれる
いずれも「レイズをせず、BB額で参加する」という点で共通しています。
なぜリンプをしてはいけないのか?
- ハンドの強さを隠せない
通常、強いハンドを持っていればプリフロップでレイズをするのが基本戦略です。リンプをしてしまうと、「この人は強いハンドを持っていないのかな?」という印象を周囲に与えやすく、自分の手の幅を狭めてしまいます。 - ポットを大きくできない
もし本当に強いハンドを持っているなら、レイズをしてポットを大きくするほうが得策です。リンプでは強いハンドの価値を最大化しづらく、稼げるときに稼ぎ損ねるリスクが上がります。 - 他のプレイヤーに割り込まれやすい
リンプしていると、後ろのポジションからレイズされる可能性が上がります。そうなると、自分の手が強い場合は良いのですが、微妙なハンドなら追加コストが発生してしまう。あるいは強いレイズに対してフォールドするかどうかの苦しい判断を迫られます。 - マルチウェイポットになりやすい
リンプが複数人発生すると、マルチウェイポット(参加人数の多いポット)になりがちです。相手が多いほどハンドが当たりやすくなるため、自分の勝率が下がる傾向にあります。強いハンドならなおさら、レイズして参加人数を絞るほうが有利といえます。
どういう場面ならリンプが有効なのか?
「だからといってリンプは絶対NG」というわけでもありません。以下のような場面ではリンプが戦略的に機能するケースもあります。
- 非常に弱いテーブル、もしくはカジュアルなプレイ環境
例えば、みんなが楽しくプレイしているホームゲームなど、そこまでしっかりと戦略を組み立てる人が少ない状況では、リンプしても対戦相手が深く考えないかもしれません。小さなポットをコツコツ取る戦術として、たまにリンプを混ぜるのも一つの手です。 - ショートスタックでのリンプイン
スタックが小さい場合、相手が大きくレイズしづらいシチュエーションもあります。自分のハンドのポテンシャルを安く見に行く意図でリンプすることは、まれに正当化される場面があります。 - 特定のハンド・特定のボード構成を狙っているとき
例として、ポケットペアでセットを狙う(セットマイン)場合など。小さいポケットペアやスモールスーテッドコネクターなどを「安くフロップを見たい」シチュエーションでは、リンプすることでレイズ分を節約できるメリットがあります。
もちろん、後ろからレイズされてしまうリスクがあるので、万能策ではない点に注意が必要です。 - 意図的なトリッキー・プレイ
上級者が混乱させるために、あえて強いハンドでもリンプして相手を誘い込むこともあります(「リンプ・リレイズ」など)。テーブル全体を読んだ上で有効に働くプレイですが、場の流れや相手の傾向をきちんと把握できるスキルが前提となります。
リンプと上手に付き合うコツ
- 基本はレイズ中心: 多くの場合、プリフロップはアグレッシブにレイズして主導権を握るのが定石です。
- 場の状況やテーブルの傾向をよく見る: 皆がリンプするようなルーズなテーブルなら、リンプでフロップを安く見られる場合もあります。
- 「安くコールできる」が常に正解ではない: リンプによるメリットより、後続のレイズやマルチウェイポットのリスクが上回ることも多いと覚えておきましょう。
まとめ
「リンプはしないほうがいい」と言われるのは、自分のハンドが強い場合でも弱い場合でも、リンプによってポットを大きくも小さくもできず、さらに相手にレイズされやすくなるなどのデメリットが目立つからです。
ただし、ゲーム環境やスタック状況、相手の傾向によっては、リンプが有効に働くケースも確かに存在します。安いコストでフロップを見られたり、トリッキーなプレイで相手を惑わせたりできるメリットは侮れません。
とはいえ、リンプ中心のプレイスタイルは上手い相手に狙われやすい傾向があるため、基本的にはレイズを主体とするアグレッシブな戦略をベースに、状況に応じてリンプを織り交ぜるくらいがちょうど良いでしょう。