はじめに
テキサスホールデムのプレイ中、しばしば目にする「ドンクベット」というアクション。
この言葉を初めて聞いたとき、「なぜそんな呼び方をするんだろう?」と不思議に思った方も多いのではないでしょうか。
実はドンクベットという用語、元々は「donkey(=あまり上手でないプレイヤー)」がよくやりがちなベットとして、少々ネガティブな意味合いがあったとも言われています。ですが、現代のポーカーでは、戦略的にドンクベットを活用するプレイヤーも増えています。
この記事では、ドンクベットの定義やメリット・デメリット、そして使いこなす上でのポイントなどを、初心者の方でもわかりやすいように解説していきます!
ドンクベットとは何か?
簡単にまとめると、「最初にレイズしたプレイヤーの行動を確認せず、先にベットしてしまう」ということ を指します。
例えば、プリフロップでレイズをした「アグレッサー」側が、フロップ以降も率先してベットを打つケースがありますよね。
ドンクベットは、その流れを逆手にとって、自分が先にベットする行為を指します。
具体例
- ボタン(BTN)のプレイヤーがプリフロップでレイズ
- あなたがSBまたはBBでコール
- フロップが配られた後、本来ならアグレッサーがCB(コンティニュエーションベット)するのを待つ……はずが、あなたが先にベットを打つ!
これがまさにドンクベットです。
ドンクベットが「下手なプレイ」と呼ばれていた背景
昔は、「アグレッサーに主導権を渡さないベット=下手なプレイヤーがよくやるベット」みたいなイメージが強かったんです。
ところが今では、「ボードによってはドンクベットを打たないと逆に損をする場面があるよね」という考え方を持っている方もいます。
ドンクベットが有効になる可能性があるケース
- ボードがコーラー(受け手)に有利なとき
例えば、あなたがBBでコールして、フロップがローカード中心の場合。ローポケットペアや、あなたのコールレンジでよくヒットするボードなら、プリフロップのアグレッサーよりあなたの方が強いハンドを持っている可能性が高まります。
そこで先制的にベットを打つことで、「このボードは自分の方が強いよ」と主張できるわけです。 - 相手がCBをほぼ必ず打ってくるタイプではないとき
相手が、フロップでCBを打ちやすいプレイヤーなら、チェックした後にCBを拾う(チェックレイズを狙う)作戦もアリです。
逆に、CBを打ってこないタイプなら、チェックしてもポットを膨らませられないですよね。そこでドンクベットを打ち、相手のコールやレイズを誘ってポットを大きくするのも狙いの一つです。 - 自分のハンドがすでに強い、または強いドローを持っているとき
セットや2ペア、強いフラッシュドローなどが完成しやすいボードなら、プリフロップ・アグレッサーに勝手にベットさせるより、自分から先にベットした方が、相手もついてきやすい可能性があります。
ポットを膨らませるために先制ベットをして、アグレッサーを慌てさせるという戦術もよく使われます。
ドンクベットのデメリット・注意点
- 読まれやすくなるリスク
アグレッサーがCBをする前にベットするので、何らかの理由があるというのが相手にも伝わりやすいです。
中途半端なハンドでのドンクベットは、逆に「ブラフかな?」と嗅ぎつかれやすく、レイズで返される恐れが増します。 - 相手に大きくレイズされ、悩む状況が増える
ドンクベットすると、相手に「こちらが弱いのでは?」と思われたり、「それなら一気にチップを入れてやろう」と考えられたりするケースが出てきます。
結果的に大きなレイズに対してコールすべきかフォールドすべきか、判断が難しくなるかもしれません。 - アグレッサーのCBがもらえなくなる可能性
本来であればチェックで回しておいて、相手がCBを打ったときにレイズしてより多くのチップを取る、という作戦もありましたよね。
ドンクベットを選ぶということは、その「CBを誘う」というルートを放棄することにも繋がります。結果的にポットがあまり大きくならず、期待値を逃してしまうかもしれません。
ドンクベットを使いこなすためのポイント
- フロップのテクスチャを冷静に判断する
相手のハンドレンジと、あなたがコールしたレンジを比較し、どちらがそのフロップと相性が良いかを考えます。
ローカードが並んでいるときや、特定のドローが絡むときなど、自分側が有利だと感じるボードならドンクベットに踏み切る価値が高まります。 - ベットサイズには気をつける
小さすぎるベットは「コールされてもいいから情報を得たい」「ブラフだけどやる気がないのかな」と思われがち。一方で大きすぎるベットは「かなりの強気か焦っているのでは」と勘付かれやすくなります。
一般的にはポットの半分~2/3程度がスタンダードなサイズ感。メリハリを付けたい場合は、状況に合わせて3/4ポットやフルポットベットも検討できます。 - 初心者はまず「ある程度強いハンド」でのドンクベットから試してみる
完全なブラフでドンクベットするのはリスクが大きく、読み合いも複雑になります。初めのうちは「セットや強めのドローがあるとき」に、相手を驚かせる形でドンクベットしてみるのがおすすめ。
成功体験を積みながら徐々に応用していくと、効果的に使いこなせるようになるはずです。
まとめ
ドンクベットは、かつて「下手なプレイ」の象徴のように扱われてきましたが、近年では戦略的に「十分アリ」とされるケースも増えています。重要なのは、どんな状況で使うか、どういったベットサイズで相手にどんなメッセージを伝えるかという点です。
ただ初心者の方にはあまりお勧めしません。
慣れてきたら、まずは「このフロップはコーラーの自分の方が強い可能性が高い」、「実際に自分のハンドが強い、または強いドローがある」というような場面で、ドンクベットを検討してみましょう。ブラフやセミブラフも交えつつ、相手の頭を混乱させるプレーとして活用できます。少しずつ実戦で試しながら、自分なりのドンクベット戦略を磨いていきましょう!